よく聞く「C値」って何?数値が低いほどいいってホント?
注文住宅購入を検討する際、気密性や断熱性などの家づくりに欠かせない情報を調べていて「C値」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。しかし、聞いたことはあるけれど、「C値」についてよく知らないといった方がほとんどではないでしょうか?そこで今回は、「C値」とはいったいどういったものなのかを解説します。
C値とは
C値とは、家の気密性能を示す値です。C値を算出するには、まず、換気口や給気口などの穴をすべて塞ぎ、室内の空気を送風機で強制的に室外に排出することで、家の隙間量を測定します。その時に生じる気圧差と風量を使うことで、C値を算出できます。
簡単にいうと、C値とは、延床面積に対して隙間面積がどれくらいあるのかの割合を示しているようです。単位は、cm2/m2で、小さい数値ほど隙間が少なく、気密性に優れているということになります。
C値は、質のよい建材を使えば値が小さくなるといったものではなく、施工した職人の腕の良し悪しで、値も左右してしまうため、安定した数値を確保することが難しいといえるでしょう。そのためか、地域ごとのC値基準値は設定されているものの、国の省エネ基準では、C値の測定は必須ではありません。こういったことから、大手ハウスメーカーであってもC値の測定をしていないことがほとんどです。
しかしながら、家づくりをするにあたって、優れた気密性なしでは、快適に住める住宅は実現しません。C値が高く、気密性が低いとどうなってしまうのかを説明するので、C値の重要性を確認してみてください。
気密性が低いとどうなるの?
気密性が低いということは、家の隙間が多いということになります。家の隙間が多いということは、外気温の影響を受けやすいということです。その結果、断熱性能の効果が薄れ、冷暖房が効かなくなるでしょう。そのため、過度に冷暖房を使用しなくてはならず、電気代も上がってしまいます。
また、強風の時や、外との圧力差が生じているときなどは、隙間風が入りやすくなり、空気中の花粉や砂埃などが室内に侵入してしまうでしょう。さらに、気密性が低いと、空調だけでなく、換気システムも効きにくくなるので、家にたまる湿気や有害物質を外に出すことができず、カビやダニの発生につながりかねません。隙間があることで、遮音性も損なわれ、騒音問題に悩まされることになる可能性も出てくるでしょう。
このように、C値が高く、気密性が低い住宅は、たくさんのトラブルが発生する可能性が高いといえます。C値の重要性をしっかりと把握して家づくりに取り組むことが重要になってくるでしょう。では、どれくらいのC値であれば、快適に過ごせるのでしょうか?
どれくらいのC値なら快適に過ごせるのか
もちろん、C値が低ければ低いほどよいのですが、現実的なC値はどれくらいなのでしょうか?
日本では、寒冷地帯を除く地域の省エネ基準をC値5.0未満と設定していますが、正直なところ、5.0未満では計画的な換気=快適な暮らしは望めないのではないかといった意見もあるようです。そうなると、寒冷地帯の省エネ基準であるC値2.0未満が現実的な数値といえるでしょう。
しかし、2.0未満であっても、最低限必要とされる気密性能が保てるというだけです。なかなか難しいことですが、できればC値1.0未満~C値0.5未満を確保することが理想的であるといえます。
■日本の住宅におけるC値の現状
ここまで、C値の重要性や、理想的なC値の数値などを解説しましたが、現状、日本でこのレベルの住宅を供給できる会社はあまりありません。前述したとおり、大手メーカーであっても、C値を測定していない場合が多く、実際にどの程度のC値なのか把握できていないことがほとんどです。国の省エネ基準でC値の測定が必須でないことや、数値の保証が難しいといった理由からでしょう。
ツーバイフォーなどのパネル工法は、比較的気密性を確保しやすいといわれていますが、木造軸組工法や鉄骨住宅では、数値にバラツキが出やすいようです。
また、気密性という点でいうと、大手ハウスメーカーよりも、C値について熟知している一部工務店の方が高性能な住宅を提供してくれる場合も多いようです。数は少ないですが、もちろん、C値を測定・公開しているハウスメーカーもあります。具体的には、一条工務店、スウェーデンハウス、セキスイハイム、アイフルホームなどです。
C値の数値については、一条工務店がとび抜けて低く、その他のメーカーは、1.0未満程度のようです。残念ながら、数値を公開していない他メーカーは、それ以下の性能しか保証できないのだろうと推測できます。
今回は、C値の重要性や日本の住宅におけるC値の現状などを解説しました。家づくりにおいて、気密性の高さがとても重要であることを知っていただけたと思います。日本で理想的なC値の住宅を供給できるハウスメーカーや工務店は、限られているのが現状です。C値についてもっと知りたいと興味の湧いた方は、C値を公開しているハウスメーカーに問い合わせてみるとよいかもしれません。